1丁目1番地

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1丁目1番地#178 横浜市神奈川区神奈川

「神奈川」で挟まれた住所が特徴的な、神奈川県横浜市神奈川区東海道の宿場町として栄えた神奈川宿周辺を中心とした地域です。

かつて江戸幕府は米国から神奈川の開港を求められたものの、外国人と日本人との接触を避けたいという思惑から、東海道の宿場で往来が激しく日本人で繁栄していた神奈川の代わりに、当時は寒村だった横浜を開港したと言われています。

その後急発展した横浜市はやがて神奈川町を編入し、さらに鶴見や保土ヶ谷、そして川和・戸塚・金沢などへと市域の拡張を続けていき、現在の300万都市の骨格が作られました。

今ではすっかり「横浜」の名前が大きくなっていますが、「神奈川」の名も県名だけでなく区名としてしっかり残っていて、駅名としても小さい駅ながら京急線神奈川駅があります。さらに、現行の町名としても存在します。

それが神奈川区神奈川です。

 

神奈川区神奈川は区南東部に位置する町で、最寄り駅はJR東神奈川駅京急線神奈川駅です。旧東海道である国道15号(第一京浜)が通っていて、町内には神奈川警察署もあります。

神奈川区には他にも東神奈川や西神奈川といった町名がありますが、その中間に挟まれているわけではなく、東神奈川の南側にあります。

 

現在の町名自体は1976年から1978年にかけての土地区画整理事業によって新設された比較的新しいもので、それ以前は棉花町、浜町、神奈川通などといった町名でした(参考:横浜市市民局『横浜市町区域要覧』)。

さらに遡ると1927年の神奈川区の区政施行時には広く一帯が神奈川町という町名でまとめられていたのが、1932年にそれが廃止されて棉花町、浜町、神奈川通や東神奈川町、西神奈川町、六角橋町などに分かれ、1970年代以降の区画整理で再編されたという変遷のようです。

なお土地区画整理事業によって新設された町名ということで元々地番が整理されているのか、住居表示実施地区ではありません。

www.city.yokohama.lg.jp

長々と書いてきてしまいましたが、現在の町名自体は比較的新しいものの、古くからここが神奈川と呼ばれる範囲内だったことは確かなようです。

 

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そしてこれが神奈川区神奈川一丁目1番地の表示板。この字面が良いですね。普段はローカルな地名が書かれるこの表示板に、県名のようなスケールの大きい地名が書かれているのが新鮮です。

奥に見える街並みは神奈川ではなくお隣の栄町です。間を神奈川、ではなく滝の川が隔てています。

神奈川という地名の由来は諸説あるようですが、そのうちの1つと関係する上無川(かみなしがわ)は京急東神奈川駅近くを流れていたそうです。

第一京浜から一歩入ったところにあり、周辺は静かな住宅街となっています。

 

1丁目1番地ではありませんが、せっかくなので町内にある神奈川台場跡(神奈川1-7)を見に行ってみました。

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こちらがその名も台場公園。奥に見えるタワーマンション群はコットンハーバーという再開発地区です。コットンという由来の一つには、先述のこのあたりの旧町名である棉花町の近くであったということもあるようです。

 

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海上警備のために横浜開港の翌年に開設されたというこの台場は、あの勝海舟が設計したそうです。

この公園の場所は船溜まりだったようです。もう少し奥に行くと遺構の一部の石垣や石碑があったようですが、訪問当時は気づきませんでした。

神奈川台場について学べる小冊子や資料室もあるそうなので、歴史を学びつつ改めて石垣を見に行きたいですね。

 

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こちらも1丁目1番地とは関係ありませんが、神奈川県横浜市神奈川区神奈川二丁目にある神奈川県警察神奈川警察署。神奈川区のほぼ全域を管轄する警察署です。神奈川づくしです。

ちなみに神奈川区役所もここから徒歩数分、東海道線の線路の反対側の広台太田町にあります。